第119号(2014年10月号[14/10/1発行])
高齢者の肺炎球菌ワクチン接種が定期予防接種になりました
 昼間、中等度の活動をしている人の場合、1日あたり約2万リットルの空気を呼吸していますが、空気中には、真菌(カビ)、細菌、ウイルスなどのさまざまな微生物の粒子が含まれています。そのため、呼吸器は、これらの微生物が体内に侵入しないように防御する仕組みを持っていますが、加齢や免疫力の低下によって防御機構が弱くなっている場合、感染による肺炎を起こしやすくなります。肺炎の主な症状は、発熱、咳、痰、胸痛、息切れ、疲労感などですが、2012年の厚生労働省人口動態統計によれば、がん、心臓病に次いで、肺炎は日本での死因第3位で、年間で12万人以上が亡くなっており、その約95%が65才以上の高齢者です。感染による肺炎の原因となる微生物は、細菌、真菌、ウイルス、マイコプラズマなど様々ですが、細菌性肺炎の原因となっている頻度が最も高い細菌がその名の通り「肺炎球菌」です。そのため、免疫力が低下しがちな65才以上の高齢者や免疫抑制作用を持つ薬による治療を受けている患者さんには、肺炎球菌ワクチンの接種が以前から推奨されてきました。
 今月1日より、高齢者の肺炎球菌ワクチンの予防接種が従来の任意接種から、国や自治体が接種を強く推奨する定期予防接種のひとつに変更になりました。定期予防接種になったことにより、これまで接種への助成は一定の内部障害を有する方に限られていましたが、全ての高齢者が対象になりました。ただし、一定の制限がありますので、詳細は各自治体の広報や案内のはがき等をご確認ください。神戸市の場合、2014年度(2014年10月1日~2015年3月31日)に定期接種の対象となるのは、本年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる方及び101歳以上になる方です。それ以外の65歳以上の方は、平成30年度までに順次、定期接種の対象となります。また、高齢者の肺炎球菌ワクチンにはニューモバックスNP®とプレベナー13®の2種類がありますが、助成の対象となるのはニューモバックスNP®のみです。さらに、大変重要なこととして、過去にニューモバックスNP®の接種を受けたことがある方は定期接種の対象となりません。ですので、前回の接種後5年が経過して再接種を行う場合に助成は受けられませんので、再接種時期が来た場合には、主治医と相談の上、定期接種の対象となる年度を待つことなく再接種していただくようにお願いします。なお、助成を受けられる場合の接種費用は4,000円、任意接種の費用は神戸大学医学部附属病院の場合8,425円です。
 また、肺炎球菌ワクチンの接種とともに、毎年、インフルエンザワクチンを受けて頂くことは、インフルエンザをきっかけとした肺炎を防ぐために大切ですので、今シーズンの接種が開始されましたら、こちらも忘れずに受けていただけますようにお願いします。なお、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチンともに不活化ワクチンですので、免疫抑制剤を使用されている患者さんも受けることができます。

新規抗リウマチ薬の治験に関するご案内
 国内外で開発が進められている新規の抗リウマチ分子標的薬(JAK阻害薬)の第3相試験を、9月より開始しました。治験薬に関する資料を用意しておりますので、治験に関心をお持ちの皆様には、主治医までご相談いただけますようにお願いします。治験への皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます。

休診のご案内
 以下の三浦准教授の外来を、学会出席のために休診させていただきます。ご迷惑をお掛けしますが、ご理解とご協力をいただけますようによろしくお願い申し上げます。
11月6日 (木) 	生物製剤外来 日本関節病学会のため		代診:なし
11月19日(水)	リウマチ外来 アメリカリウマチ学会のため	代診:前田医師
11月20日(木)	生物製剤外来 アメリカリウマチ学会のため	代診:なし

整形外科リウマチ教室のご案内
 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、診療をご希望の場合には、整形外科のリウマチ外来を、現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
 さて、10月の教室では薬剤部の小倉薬剤師から、医薬品を上手に使う方法に関する講演を行う予定としております。皆様のご参加をスタッフ一同、心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2014年10月-2015年1月)
日時:2014年10月30日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「お薬を上手に使うには?」
講師:薬剤部 小倉 史愛 薬剤師
司会:三浦 靖史 准教授
 
日時:2014年11月27日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「冬が来る前に」 
講師・司会:三浦 靖史 准教授

12月は年末につきリウマチ教室はお休みです

日時:2015年1月29日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチ治療:今年の展望」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ

 台風に限らず、悪天候や、急な都合で予約日に受診できなくなっても薬が切れてしまわないように、1週間の予備の薬をいつもお持ちくださいますようにお願いします。なお、予備の薬が古くなってしまわないように新しく受け取った薬と毎回入れ替えてください。予備の薬がない場合には担当医までご相談ください。それでは、皆様、楽しい秋を満喫してくださいね。

リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2014.10.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用

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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)