第116号(2014年7月号[14/7/1発行])
梅雨ですが
 早くに梅雨入りしたというのに、西日本では、6月中は思いの他、雨が少ない空梅雨でした。気象庁によれば、7月初めから中旬にかけては、降水量は平年並みか多いとのことですので、いよいよこれからが梅雨らしくなりそうです。この時期は、梅雨の高い湿度と気温、さらには冷房による冷えすぎなどによりリウマチ患者さんが体調を崩しやすい時候ですので、濡れたフロアでの転倒事故の防止も含め、くれぐれもご自愛、ご注意くださいますようにお願いします。

平成26年度特定疾患医療給付事業について
  特定疾患治療研究事業とは、患者さんの数が少なく、原因が不明で、治療方法が確立しておらず、生活面に長期に渡って支障が生じている、特定の難病に対して、国が調査研究を進めている事業です。患者さんの受療を推進して、その原因を究明することを目的に、都道府県が実施主体となって、医療費の公費負担を行う特定疾患医療給付事業が、厚生労働省が定めた56疾患を対象に実施されてきました。
 患者さんの数が多い「関節リウマチ」は、他の膠原病とは異なり、特定疾患治療研究事業における特定疾患には以前から含まれていませんが、一定の診断基準を満たす「血管炎」を合併した関節リウマチは「悪性関節リウマチ」と呼ばれ、特定疾患として認められています。
 さて、2015年1月1日から、現行の特定疾患医療給付事業に代わり、新たな医療費助成制度が始まる予定となっています。新しい制度では;
(1)助成対象疾患が、現行の56疾患から約300疾患に拡大されます。ただし、対象疾患は新しい法律成立後に選定される予定のため、現時点ではどの疾患が含まれるのかは確定していません。
(2)認定基準が変更されます。現在は一部の疾患で行われている重症度分類が全ての対象疾患に導入されて、重症度分類で一定程度以上の患者さんのみが助成対象になります。
(3)患者一部自己負担限度額が変更されます。患者一部自己負担限度額は、現行制度では生計中心者の所得に応じて限度額が認定されていましたが、新しい制度では世帯の所得(市町村民税課税額)に応じて限度額が認定されます。なお、新制度移行に伴い現行制度で受給を受けている患者さんについては、制度の変更により負担が増える影響を軽減するために、新制度での受給認定基準以下であっても受給対象となることと、自己負担限度額が低く設定される激変緩和措置が3年間に限り適用されます。
 また、現在受給中の患者さんにはすでに個々に通知がされていることと思いますが、制度の改正に伴い、例年、6~9月に実施されている継続申請の手続きに代わり、本年度は10~12月に新制度で引き続き医療費助成を受けるための新医療費助成制度受給申請を行って頂くことになります。そのため、現行の受給者票の有効期限は12月31日まで延長されます。
 さて、介護保険の改正法案が国会で議決され、高額療養費制度も改正が予定されているなど、超高齢化社会を迎えて、消費税の増税とともに、患者さんや要介護者の負担が増える傾向にあり、適切な治療が経済的理由により選択できない場合があることに、医療者として忸怩たる思いをすることが少なくありません。しかし、この10年間にこれほど多くの優れた治療薬が次々と開発されてきた疾患は、関節リウマチをおいて他にはありません。また、現在は高額な生物学的製剤や分子標的薬も、薬価はいずれ下がります。適応できる制度を最大限に活用して、治療に係る経済的負担を最小限にしながら、最良の治療を受けて頂けますように、私どもはこれからも利用可能な制度に関わる情報の提供に努めて参りますので、患者の皆様とご家族におかれましては、医療費の負担につきまして、ご理解を賜りますようによろしくお願いいたします。

整形外科リウマチ教室のご案内
 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。また、教室では、診察そのものはできませんので、リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、診療をご希望の場合には、整形外科のリウマチ外来を、現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
 さて、7月の教室では栄養管理部の山西管理栄養士から、健康に役立つ食生活に関する講演を行う予定としております。皆様のご参加をスタッフ一同、心からお待ちしております。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2014年7月-2014年9月)
日時:2014年7月31日(木)午後1時-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「今日からできる! 食生活のワンポイントアドバイス」 
講師:栄養管理部 山西 美沙 管理栄養士  
司会:三浦 靖史 准教授

日時:2014年8月28日(木) 午後1時-2時30分(時間が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会」
講師:整形外科外来 小林 久美子 副看護師長及び看護部スタッフ  
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2014年9月25日(木)午後1時-2時10分(時間が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール ♫ ♬
演題:「健康と音楽」 
講師:国際医療福祉大学大学院 山崎 郁子 特任教授 ♪ ♫ 
司会:三浦 靖史 准教授
神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ

第12回神戸海星病院リウマチ教室のご案内
 関連医療機関である神戸海星病院との共催で、土曜日にもリウマチ教室を開催しています。大学病院でのリウマチ教室に加えて、こちらにも是非ご参加ください。
日時:2014年7月12日(土)午後2時-4時30分 (午後1時30分開場)  
会場:神戸海星病院 北棟6階 大会議室 (〒657-0068 神戸市灘区篠原北町3丁目11-15)
プログラム:
演題1:「リハビリとリウマチ~関節をまもる、そのために~」
                                                     講師:リハビリテーションセンター 中 雄太 理学療法士
演題2:「ちょっと気になる食形態」 講師:栄養部 松岡 良平 管理栄養士
演題3:「リウマチQ&A」             講師:神戸大学保健学研究科/整形外科 三浦 靖史 准教授
個別相談・施設見学(介護付有料老人ホームコンフォートヒルズ六甲)も実施予定です
参加は無料ですが、定員60名ですので、事前に電話でお申し込みください。
申込先:神戸海星病院 地域医療連携部  電話:078-871-5201

梅雨明けまでもう少し時間がかかりますので、皆様、体調管理をしっかりとなさって下さいね。

リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2014.7.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用

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