第87号(2012年2月号[12/2/1発行])
先日より厳しい寒さが日本列島を襲っており、特に日本海側では激しい積雪になっていますが、皆様、体調はいかがでしょうか。一般に寒さは関節リウマチの疼痛を悪化させますが、そればかりでなく、感冒やインフルエンザなどの感染症の誘因にもなります。また、風邪症状があるのにリウマチ外来の予約日まで医療機関で治療を受けておられない患者さんがときどきおられますが、インフルエンザや肺炎を見落とす恐れがありますので、風邪だと自己判断して市販薬のみで経過を見ることはお止めいただき、速やかにかかりつけ医を受診下さいますようにお願いします。なお、風邪症状があって医療機関を受診される場合には、他の患者さんにうつすことがないように、必ずマスクを着用ください。皆様には、くれぐれも、健康管理にご注意くださいますように重ねてお願いいたします。
外来診療での高額療養費制度の手続き変更について
従来、生物学的製剤などの高額な治療を受けられて、高額療養費制度*が適応になる場合であっても、入院患者さんと異なり、外来患者さんは、通常1-3割の自己負担分を外来窓口で一旦支払っていただき、健康保険組合等に領収書を添えて申請することにより、高額療養費制度が適応された分の金額を数ヶ月後に還付してもらう必要がありました。そのため、経済的に余裕がない場合に、還付される高額療養費を担保として融資を受けることができる貸付制度もありますが、せっかくの高額療養費制度にも関わらず、煩雑な手続きの手間と立て替え払いの負担が多くの患者さんに生じていました。
ようやく本年4月1日より運用方法が改善されて、入院患者さんと同様に、事前申請により交付される限度額適用認定証を医療機関の窓口へ提示することにより、外来窓口での負担が自己負担限度額までの負担となることが決まりました。制度の概要につきましては、厚生労働省のポスターを転載しておりますので、ご参照いただけましたら幸いです。なお、本原稿を作成している時点では、自己負担限度額の変更の情報はありません。立て替え払い制度がなくなるのはとても良いのですが、限度額も是非、引き下げて頂きたいと思っています。
*高額療養費制度とは、公的医療保険における制度の一つで、医療機関や保険薬局の窓口で支払った金額が、暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に、その超えた部分の金額を支給する制度のことです。
高額療養費制度の適応は、年齢と所得、加入する健康保険組合などにより大きく異なりますので、詳しくは各組合に直接お問い合わせいただきますようにお願いいたします。
新規生物学的製剤治験のご案内(再掲)
整形外科リウマチ診療部門では、昨年から、国際共同で開発が進められている新規抗リウマチ生物学的製剤の治験の第3相試験を行っております。この生物学的製剤は、主にBリンパ球に作用するBAFFというサイトカインに対して特異的に結合する抗体製剤で、高い有効性が期待されています。
製薬会社と医療従事者だけでは、新しいリウマチ薬を誕生させることはできません。リウマチ患者さんやご家族の協力があって初めて可能になります。治験に際しては、より一層の安全性の確保と、経済的負担の軽減、さらには、効果が不十分な場合の対策などに様々な配慮がなされています。皆様のご協力をいただけましたら幸いです。
治験に参加頂ける人数には制限があり、締め切りが徐々に近づいて来ておりますので、治験に興味をお持ちになられた患者さんは、早めに主治医までお申し出いただけますように、お願い申し上げます。なお、治験に参加いただくには、一定の条件を満たす必要がありますので、せっかく、お申し出を頂いても、ご参加いただけない場合もありますので、その際はどうかご了承ください。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科リウマチ診療部門では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。皆様の参加を心からお待ちしております。
講演後に、限られた時間ですが、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできません。リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での診療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
さて、2月のリウマチ教室では、昨年の8-9月に皆様にご協力いただいて実施しました日常生活の工夫に関する聞き取り調査の結果を、調査を実施しました看護学生の長谷さんと白鳥さんから講演させていただく予定です。皆様のご参加を心からお待ちしております。
2012年の整形外科リウマチ教室のスケジュール
日時:2012年2月23日(木) 午後1-2時
会場:外来診療棟4階第2会議室(会場が異なります)
演題:「リウマチ患者さんが行っている日常生活の工夫」
講師・神戸大学医学部保健学科看護学専攻 長谷 祐里さん、白鳥 千寿さん
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2012年3月22日(木)(第4週です)午後1-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「若いリウマチ患者さんへ:就職と妊娠について」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
日時:2012年4月19日(木)(第3週です)午後1-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
日時:2012年5月24日(木)(第4週です)午後1-2時
会場:外来診療棟4階第2会議室
風邪とインフルエンザが流行していますので、感染予防と早期受診をお忘れなきようにお願いします。
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療部門宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療部門© 発行日:2012.2.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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