第72号(2010年11月号[10/11/1発行])
 11月になって秋も深まってきましたと申し上げたいところですが、10月終わりには早くも木枯らし1号が吹き荒れて、秋を飛ばして冬が来たかと思ったら、すぐに台風14号が到来するなど、非常に変化の激しい気候が続いています。慌てて冬物衣料を出された患者さんも多いかと思いますが、体調維持のためにも、今の内にしっかりと冬に向けての準備を進めて頂きたいと思います。

今シーズンのインフルエンザワクチンについて
 昨シーズンは新型インフルエンザの流行のために日本中が大騒ぎになりましたが、今シーズンはなぜかあまり話題に上りません。リウマチの治療薬の多くには免疫を抑制する作用がありますので、リウマチ患者さんはインフルエンザウイルスに対する抵抗力が弱くなっている場合があります。そこで、インフルエンザ対策が重要ですが、対策の基本はワクチンの接種と日頃のうがいや手洗いです。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンですので、抗リウマチ薬や生物学的製剤で治療中の患者さんも、アレルギーなどの他の問題がなければ接種を受けることができます。ただし、ワクチンは接種してから効果を発揮するまで2週間程かかりますので、流行が始まってから接種したのでは間に合わないかもしれません。すでに10月から接種が始まっていますので、お近くの医療機関に申し込みの上、速やかに接種していただきますようにお願いします。今年のワクチンは、昨シーズンに新型インフルエンザと呼ばれたH1N1を含む3つのウイルス株に対するワクチンが組み込まれていますので、昨シーズンのように季節性と新型のワクチンを別々に接種する必要はありません。1本のワクチンを、成人の場合、通常1回接種していただけば大丈夫です。また、できるだけご家族の皆様でワクチン接種を受けてください。なお、インフルエンザワクチンは普通の風邪には全く効果がありませんので、ワクチンを接種しても油断されず、うがいと手洗いは引き続き徹底して頂きますようにお願いします。さらに、ワクチンを接種してもインフルエンザに必ずしもかからない訳でもありません。タミフル®やリレンザ®に加えて、新しいインフルエンザ治療薬であるラピアクタ®やイナビル®も登場していますが、いずれも発症後早期の治療開始が必要ですので、発熱やのどの痛みなどの症状がありましたら、できるだけ早くかかりつけ医の診察を受けて頂くようにお願いします。

肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス®)について
 昨年は供給不足が問題になりました肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス®)ですが、現在供給に問題なく、特に高齢の患者さんには接種をお勧めしております。なお、一度接種を受けると少なくとも5年間は効果が継続しますので、インフルエンザワクチンと異なり毎年接種する必要はありません。昨年に接種された患者さんが間違って再度接種されないようにご注意ください。

アバタセプト(オレンシア®)採用のお知らせ
 全く新しい作用機序を持つ関節リウマチに対する生物学的製剤であるT細胞選択的共刺激調節剤アバタセプト(オレンシア®、ブリストル・マイヤーズ社)が、11月中頃に大学病院で採用されることが決まりました。オレンシア®は従来の治療で十分な効果が得られていない場合にも効果が期待できることが報告されています。資料を用意していますので、詳しくお知りになりたい患者さんは主治医までご相談ください。

エタネルセプト(エンブレル®)50mgシリンジ採用のお知らせ
 関節リウマチに対する生物学的製剤である抗ヒトTNF受容体製剤エタネルセプト(エンブレル®、ファイザー/武田薬品)の50mgシリンジが、10月25日に大学病院で採用されました。週に50mgを使用している患者さんは、25mgシリンジを使用する場合と比較して、注射が週に1本で済みますし、若干ですが薬価が下がりますので、50mgシリンジへの変更をご希望の患者さんは主治医までご相談ください。

外来休診のお知らせ(再掲)
 アメリカリウマチ学会出席のため、以下の三浦准教授の診察を休診させていただきますので、申し訳ありませんが、ご了承下さいますようにお願いします。
 11月10日(水)リウマチ外来 代診:福田医師
 11月11日(木)生物製剤外来 代診:なし

整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者の方もご参加いただけます。
 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。皆様の参加を心からお待ちしております。
 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできません。リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での診療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、できるだけ、かかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
 さて、11月のリウマチ教室では、この冬を健康に過ごすために注意していただきたいポイントについて、三浦准教授から講演を行う予定です。今年最後のリウマチ教室となりますので、皆様、是非、ご参加下さい。
2010年11月-2011年1月の整形外科リウマチ教室の予定:
日時:2010年11月25日(木) 午後1-2時				         会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「冬を健康に過ごすために」 
講師・司会:三浦 靖史 准教授

*12月は年末につきリウマチ教室はお休みです

日時:2011年1月27日(木) 午後1-2時				    会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「2011年:リウマチ治療の展望」 
講師・司会:三浦 靖史 准教授	

神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ

第5回神戸海星病院リウマチ教室のご案内
 関連病院である神戸海星病院との共催で、4ヶ月毎に土曜日にリウマチ教室を開催しています。大学病院での平日のリウマチ教室に参加することが困難な皆様は、こちらにご参加ください。
日時:2011年3月26日(土) 午後2時-4時30分 ( 午後1時30分開場 )
会場:神戸海星病院 北棟6階 大会議室 (〒657-0068 神戸市灘区篠原北町3丁目11-15)
演題: 詳細は近日中に発表予定ですので、もうしばらくお待ちください。
参加費は無料ですが、定員60名ですので、事前に電話でお申し込みください。
申込先:神戸海星病院 地域医療連携部  電話:078-871-5201

気温の変化が激しく、風邪も流行っていますので、皆様、くれぐれもご自愛くださいませ。

翌月のリウマチだよりはこちら 
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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)