第71号(2010年10月号[10/10/1発行])
 永遠に続くのではないかと感じられた今年の猛暑も、さすがに9月下旬からは気温が下がり、10月に入ってからは、朝夕は肌寒さも感じられる秋らしい気候になってまいりました。そろそろ衣替えですが、皆様の体調はいかがでしょうか。まだまだ夏の疲れが残っている方も多いのではないかと思いますが、季節の変わり目のこの時期は気温の変化が激しいため、風邪を引きやすいので要注意です。
 涼しくなったと安心されずに、簡単に脱ぎ着できる上着を持参する、汗をかいたら下着をまめに着替える、外出から帰宅したらうがいと手洗いを徹底するなどして、日頃から風邪とインフルエンザの予防対策を実施していただくようにお願いします。
メトトレキサート製剤に関するご注意
 当科では従来からメトトレキサート製剤(リウマトレックス®、メトレート®、メソトレキセート®など)を含む処方箋には、内服する曜日と週当たりの用量を明記するようにしています(例:土曜日3カプセル分2食後朝2夕1、日曜日1カプセル分1朝食後、週量8mg)。内服する曜日を指定して週量を記載することにより、患者さんと薬剤師の双方にメトトレキサートの正確な内服法を伝え、医師だけでなく薬剤師からも改めて服薬指導を行って貰い、薬の飲み忘れを防ぐとともに、危険な飲み過ぎを防止するという意味もあります。ですので、万一、曜日と週量が記載されていない場合には、速やかに主治医にお伝えください。

エタネルセプト(エンブレル®)50mgシリンジ薬価決定のお知らせ
 本年2月に、抗ヒトTNF受容体製剤エタネルセプト(エンブレル®、ファイザー/武田薬品)の関節リウマチに対する用法・用量に、従来の1回10-25mgを週2回に加えて、1回25-50mgを週1回が追加承認されました。しかし、25mg入りのシリンジとバイアルしかありませんでしたので、50mgを注射する場合には、25mgシリンジを2本注射するか、25mgバイアル2本を注射用水に溶解して注射器に吸う必要がありました。今回、新たな規格である50mgシリンジ1mL製剤が追加され、50mgシリンジの薬価が30,206円に決定しました(年間で約157万円)。25mgシリンジの薬価が15,309円(年間で約159万円)ですので、週に50mgを使用している患者さんの場合、週で412円、年間で約21,400円薬価が下がりますので、健康保険が3割負担の場合、年間で6,400円自己負担が安くなる見込みです。今後、50mgシリンジの採用が決まりましたら、リウマチだよりでお知らせします。

アバタセプト(オレンシア®)薬価決定のお知らせ(第2報)
 全く新しい作用機序を持つ生物学的製剤であるアバタセプト(商品名オレンシア®、ブリストル・マイヤーズ社)が、関節リウマチの治療薬として承認されました。アバタセプトは、T細胞補助シグナル分子であるヒト細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)とヒト免疫グロブリンのFc部分との融合蛋白質であり、抗原提示細胞上のCD80/86分子と結合して、CD80/86分子がT細胞上のCD28と結合するのを競合的に阻害することにより、T細胞の活性を抑制して、抗リウマチ作用を発揮します。9月に薬価が250mgバイアル当たり53,467円に決定しました(体重60kg未満の場合、年間で約150万円)。現在、院内での採用手続きを行っており、12月上旬には使用可能になる見込みですので、今しばらくお待ちください。

外来休診のお知らせ
 アメリカリウマチ学会出席のため、以下の三浦准教授の診察を休診させていただきますので、申し訳ありませんが、ご了承下さいますようにお願いします。
 11月10日(水)リウマチ外来 代診:福田医師
 11月11日(木)生物製剤外来 代診:なし

整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者の方もご参加いただけます。
 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。皆様の参加を心からお待ちしております。
 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできません。リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での診療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、できるだけ、かかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
 さて、10月のリウマチ教室では、毎年恒例となっています関節リウマチの装具に関する講演と、装具や自助具の展示及び相談会を、村田義肢装具士を中心とする澤村義肢製作所の方々に行っていただく予定です。日頃、足の変形や痛みなどでお悩みの患者さんは、是非、ご参加下さい。
2010年10月-2011年1月の整形外科リウマチ教室の予定:
日時:2010年10月28日(木) 午後1-2時				         会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「関節リウマチと装具」 
講師:村田 恭子 義肢装具士(澤村義肢製作所)
司会:三浦 靖史 准教授

日時:2010年11月25日(木) 午後1-2時				         会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「冬を健康に過ごすために」 
講師・司会:三浦 靖史 准教授

*12月は年末につきリウマチ教室はお休みです

日時:2011年1月25日(木) 午後1-2時				    会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「2011年:リウマチ治療の展望」 
講師・司会:三浦 靖史 准教授	

神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ

第4回神戸海星病院リウマチ教室のご案内
 関連病院である神戸海星病院との共催で、4ヶ月毎に土曜日にリウマチ教室を開催しています。大学病院での平日のリウマチ教室に参加することが困難な皆様は、こちらにご参加ください。
日時:2010年10月31日(土) 午後2時-4時30分 ( 午後1時30分開場 )
会場:神戸海星病院 北棟6階 大会議室 (〒657-0068 神戸市灘区篠原北町3丁目11-15)
演題:
「リウマチの治療を変えるタイミング」 三浦 靖史 准教授
「リウマチのお薬のポイント③ 消炎鎮痛剤について」  神戸海星病院 薬剤部 濱名 則子 管理薬剤師
「身体の上手な使い方④ 自分で治せる痛みの話」  神戸海星病院 リハビリテーションセンター 阿部 渉 理学療法士
「リウマチの血液検査」  神戸海星病院 検査部 江尻 いずみ 臨床検査技師
参加費は無料ですが、定員60名ですので、事前に電話でお申し込みください。
申込先:神戸海星病院 地域医療連携部  電話:078-871-5201

急に気温が下がりましたので、皆様、くれぐれもご自愛くださいませ。それでは次号をお楽しみに。

翌月のリウマチだよりはこちら 
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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)