第67号(2010年6月号[10/6/1発行])
 春になってから天候不順が続いているためか、年齢を問わず、風邪が流行っております。免疫抑制剤や生物学的製剤による治療を受けておられるリウマチ患者の皆様は、くれぐれも体調管理に努めて頂けますようによろしくお願いいたします。

「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」についてご存じですか?
 厚生労働省は、平成22年度の薬価制度改革において、新薬創出を適切に評価するという考え方に基づいて、特許が有効期間中にある新薬に対する薬価を決定する方法として「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」を試行的に導入しました。これは、2年に1回程度行われていた薬価改定のたびに薬価が徐々に下げられていくというこれまでの仕組みから、新薬については、特許が有効な期間中は薬価を据え置いてその権益を保護し、特許が切れて後発医薬品(ジェネリック医薬品)が発売される時期になったら、一気に薬価を引き下げるという仕組みに変更するということです。この方法により、製薬会社に対して新薬開発をより一層促し、また、未承認薬・適応外薬問題の解決を通じて、新たな治療薬を待ち望んでおられる患者さんの期待に応えることが期待されています。一方で、後発医薬品に置き換えることのできない数多くの最新のリウマチ治療薬は、当面の間、現在のままの薬価が維持されます。具体的には、レミケード®、エンブレル®、アクテムラ®、ヒュミラ®といった全ての抗リウマチ生物学的製剤、抗リウマチ薬アラバ®、消炎鎮痛剤セレコックス®などが、この加算の適応になっています。
 今日のリウマチ治療や癌治療で最も大きな問題のひとつが高額な治療費です。患者さんの自己負担を減らすための方策については、現在、厚生労働省などで検討中と報道されておりますが、まだ、確定しておりません。特に、生物学的製剤の使用に際しては、現状でできる限りの負担軽減法や所得税還付につきましては主治医が把握しておりますので、ご相談ください。今後、新たな負担軽減策が採られました場合には、速やかに皆様にお伝えする所存です。

エンブレル®用法・用量追加のお知らせ
 本年2月に、抗ヒトTNF受容体製剤エタネルセプト(エンブレル®、ファイザー/武田薬品)の関節リウマチに対する用法・用量に、これまでの10-25mgを1日1回週2回に加えて、25-50mgを1日1回週1回が追加承認されました。50mgシリンジは今後発売の予定です。

6月は「リウマチ月間」です。
関節リウマチについての理解を深めて、より良い療養を行いましょう。
 メトトレキサートと生物学的製剤による適切な治療を発症早期から開始すれば、関節リウマチによる関節破壊の進行と障害の発生をかなりの割合で防止できるようになりました。そのために、関節リウマチを発症早期に正しく診断することが、より重要になっています。リウマチが疑われる場合には、まず、かかりつけ医に相談して頂き、専門医の診察が必要であると判断されれば、病診連携の仕組みを通じて、私たち専門医を速やかに受診なさってください。診断が確定すれば、かかりつけ医と連携しながら、病状に応じた積極的な治療を開始させていただきます。
ⓒ日本リウマチ財団

整形外科リウマチ教室のご案内
 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さんとご家族、医療・教育関係者の方々もご参加いただけます。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。繰り返し参加されている皆様は、患者相互や、患者と医療従事者の交流の場としても教室を活用されておられますが、どなたでも気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできません。リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での治療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、できるだけ、かかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
 6月のリウマチ教室では、リハビリテーション部の井上順一朗理学療法士より、リウマチの関節破壊予防に大切な関節保護に関する講演を、7月は免疫内科の笠木伸平先生より、リウマチの薬物療法に関する講演をして頂く予定にしています。皆様の参加を心からお待ちしております。
今年後半の整形外科リウマチ教室の予定が決まりました:
日時:2010年6月24日(木) 午後1-2時                      		    会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「関節リウマチにおける関節保護」 
講師:井上 順一朗 理学療法士(附属病院リハビリテーション部)    	司会:三浦 靖史 准教授
日時:2010年7月22日(木) 午後1-2時 会場:外来診療棟4階第2会議室 (第4週で会場も異なります)
演題:「関節リウマチの薬物療法2010」 
講師:笠木 伸平 先生 (臨床病態免疫学講座 特命助教)    		司会:三浦 靖史 准教授
日時:2010年8月26日(木) 午後1-2時30分 			  	    会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会」 
講師:川島 良子 整形外科外来看護副師長及び看護部スタッフ		  	司会:三浦 靖史 准教授
日時:2010年9月30日(木) 午後1-2時                      		    会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「健康と音楽」 
講師:山崎 郁子 教授(東京工科大学医療保健学部)				        司会:三浦 靖史 准教授
日時:2010年10月28日(木) 午後1-2時				         会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「関節リウマチと装具」 
講師:村田 恭子 義肢装具士(澤村義肢製作所)					司会:三浦 靖史 准教授
日時:2010年11月25日(木) 午後1-2時				         会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「冬を健康に過ごすために」 
講師・司会:三浦 靖史 准教授
*12月は年末につきリウマチ教室はお休みです
神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ

第3回神戸海星病院リウマチ教室のご案内
 関連病院である神戸海星病院との共催で、4ヶ月毎に土曜日にリウマチ教室を開催しています。大学病院での平日のリウマチ教室に参加することが困難な皆様は、こちらにご参加ください。
日時:2010年7月3日(土) 午後2時-4時30分 ( 午後1時30分開場 )
会場:神戸海星病院 北棟6階 大会議室 (〒657-0068 神戸市灘区篠原北町3丁目11-15)
演題:
    「リウマチと骨粗鬆症」 三浦 靖史 准教授
    「リウマチのお薬のポイント(2):骨粗鬆症の薬について」神戸海星病院 薬剤部 濱名 則子 管理薬剤師
    「身体の上手な使い方(3):関節の保護」神戸海星病院 リハビリテーションセンター 阿部 渉 理学療法士
      「リウマチ患者さんが使える医療制度」神戸海星病院 地域医療連携部 来栖 由季 医療ソーシャルワーカー
参加費は無料ですが、定員60名ですので、事前に電話でお申し込みください。
申込先:神戸海星病院 地域医療連携部  電話:078-871-5201

(社)日本リウマチ友の会 第38回兵庫支部大会講演のご案内
 日本リウマチ友の会第38回兵庫支部大会で講演をさせていただきます。会員でない方もご参加頂けます。
日時:2010年6月27日(日) 午後1時-4時
会場:神戸市勤労会館 2階多目的ホール (〒651-0096 神戸市中央区雲井通5丁目1-2:各線三宮駅から東へ徒歩5分)
講演:
「リウマチ診療の新しい考え方」
     神戸大学大学院 医学研究科 客員教授・神鋼病院 膠原病リウマチセンター長 熊谷 俊一 先生
「若いリウマチ患者さんへ:就職・結婚・妊娠に際して」
     神戸大学大学院 保健学研究科 三浦 靖史 准教授
 それでは、鬱陶しい梅雨の時期こそ、療養に努めていただき、元気に乗り切りましょう。

翌月のリウマチだよりはこちら 
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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)