第65号(2010年4月号[10/4/1発行])
若いリウマチ患者さんへ:(2)結婚と妊娠について
 性別を問わず、リウマチ患者さんがご結婚される場合には、ぜひ、フィアンセと一緒に受診してください。祝福の言葉はもちろんですが、結婚にあたり、お二人に気をつけて頂きたいことを、主治医の立場から、お話させていただきたいと思います。今後の治療の方針や妊娠に関する注意事項について、フィアンセにも理解をしていただくことが、より良い療養にとても大切ですので、フィアンセを連れて受診することをためらわないでください。あなたが選ばれた伴侶はきっと病状を良く理解してくださいます。
 今日、結婚される年齢はさまざまで、20代で結婚される方もおられればもっと晩婚の方もおられます。あるいは、早くに結婚はしていたけれど、お子さんを持ちたいと思われたのが30代後半以降という女性も多くおられます。そのため、以前は、出産を機会にリウマチを発症する若い患者さんが多かったのに対して、近年では、遅めの妊娠を希望される頃にリウマチが発症する患者さんが目立ってきました。リウマチがしっかりと治療されず、疾患活動性が高い状態が続いていると妊娠しにくいと考えられていますので、まずは強力なリウマチ治療を一定期間行って病状を落ち着かせてから、妊娠に向けて薬を減らしていくというのが、一般的です。しかし、非常に年齢が高い場合には、治療を優先するだけの時間的余裕がない場合もあり、その場合、妊娠に向けて、早くから治療を制限せざるを得ない場合も生じてきます。治療を制限することは、リウマチを悪化させて関節破壊を進ませてしまうリスクを伴いますので、どのタイミングで治療を制限するか、産婦人科の先生とも良く相談の上、決定する必要があります。
 そこで、妊娠を決意されました場合には、まずは主治医に相談してください。リウマチの状態が妊娠に向けて薬を制限しても大丈夫かどうかを検討します。また、妊娠に際して母体と配偶者の身体に問題がないかをマタニティークリニックでチェックしてもらってください。幸いなことに神戸には複数の熱心なマタニティークリニックがあり、週末も診察をしておられるところがありますので、仕事が忙しくて平日に休めない配偶者の方も受診していただくことができます。[次号に続く]

リウマチ友の会加入へのお誘い(再掲)
 新薬承認の促進、専門病院の拡充、患者さん同士の交流や情報交換などに、リウマチ患者さんにより設立された日本リウマチ友の会は、大きな役割を果たしています。神戸大学整形外科リウマチ診療部門では、従来から、リウマチ友の会の活動を積極的に支援しております。近年、インターネットなどで簡単にリウマチに関する情報を入手することが可能になりましたが、その中身は玉石混淆であるために、患者さんがご自身で正しい情報を見極めるのは、決して容易なことではありません。友の会の会誌「流(ながれ)」は、リウマチ専門医が患者さん向けに寄稿している大変充実した内容の雑誌で、会員に定期的に送付されています。現在ご加入でない皆様は、新年度となりましたことをきっかけに、是非、友の会へのご加入を検討くださいますようにお願いします。入会案内は、整形外科外来にも用意しておりますので、必要な方は、主治医あるいは看護師にお声かけください。 
問い合わせ先:社団法人 日本リウマチ友の会 電話番号:03-3258-6565
住所:〒101-0047東京都千代田区内神田2-7-7 新内神田ビル3階(月-金 9:30-16:30 土・日・祝日休)

整形外科リウマチ教室のご案内
 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さんとご家族、医療・教育関係者の方々もご参加いただけます。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。繰り返し参加されている皆様は、患者相互や、患者と医療従事者の交流の場としても教室を活用されておられますが、どなたでも気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできません。リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での治療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、かかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
 4月のリウマチ教室では、三浦准教授より、関節リウマチや変形性関節症によって関節がひどく傷んでしまった場合に、非常に有効な治療法である人工関節手術に関する講演を予定しています。人工関節の実物を実際に触っていただくことができますので、手術を勧められたけれども受けるかどうか悩んでおられる患者さんは是非ご参加ください。5月は産婦人科医である保健学研究科の松尾教授より、関節リウマチが発症しやすい年齢でもある更年期に生じる変化に関する講演を、6月はリハビリテーション部の井上順一朗理学療法士より、リウマチの関節破壊予防に大切な関節保護に関する講演を、それぞれ予定しています。皆様の参加を心からお待ちしております。
これからのリウマチ教室の予定 

第3回神戸海星病院リウマチ教室のご案内
 関連病院である神戸海星病院との共催で、4ヶ月毎に土曜日にリウマチ教室を開催しています。大学病院での平日のリウマチ教室に参加することが困難な皆様は、こちらにもご参加ください。
日時:2010年7月3日(土)午後 詳細は近日中に発表予定ですので、もうしばらくお待ちください。

 思ったより早く桜が咲いてしまいましたが、皆様、お花見に行かれますでしょうか。暖かくなっても油断されることなく、人混みに出かけられた後は、うがいと手洗いをしっかり行ってくださいね。

翌月のリウマチだよりはこちら 
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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)