山田誠一の民事法務頁 1997年度消費者法

消費者法講義教材〔6〕

現在神戸大学法学部の消費者法の講義を受講している学生による
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消費者法講義教材〔6〕1997.6.12.
山田誠一
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◆問題
(5)消費者金融
・F君は、友達に誘われて、一度競馬を見に行ったら、サラブレッドの走る姿に感動し、いっぺんで競馬が大好きになったしまった。競馬場にいけば、やはり、馬券は買うし、いろいろ組み合わせて買うと、当ることもあって、はまりこんでしまった。次第に、馬券の購入額も大きくなり、毎月の収入より支出の方が多くなってしまった。最初の頃は、友達から、1万円、2万円と貸してもらっていたけれど、なかなか返さないことが続くと、貸してくれる友達もいなくなって、サラ金から借り始めた。サラ金から借りるときは、年利28パーセントの利息を支払うという契約になっていた。
・50万円を3ヵ月借りると、53万5000円を返さなければならない計算になる。その通り、返さなければいけないのだろうか。

◆講義項目表
(1)サラ金はどう言うか。Fさんはどんなことが言えるだろうか。
・サラ金は、元本を50万円と、利息を3万5000円支払って下さいというだろう。
・Fさんは、全く返さないと言えるだろうか。利息は払わないと言えるだろうか。

(2)金銭を貸す契約(金銭を借りる契約)
・金銭消費貸借契約という。一定額の金銭を受け取り、同額の金銭を返すことを約束する契約である(587条)。通常、返還すべき日(履行期という)を契約で決める。
・金銭消費貸借契約は、契約で利息の支払を、定めるものと、定めないものがある。・利息の支払を定めてない場合、借主は、履行期に、元本(受け取った金銭の額と同額の金銭)を、貸主に支払わなければならない。
・利息の支払を定めている場合、通常、利息の利率も契約で定める。利息の利率は、例えば、1年間借りた場合の利息の額を、元本の額で割った割合をパーセントで示す方法が用いられる。年利28パーセントの利息を支払うという契約で、100万円を1年間、借りると、利息は28万円である。借主は、履行期に、元本と利息の合計額を、貸主に支払わなければならない。

(3)契約の不履行と契約の有効性[契約法入門:3契約が破られた■契約が破られたときにはどうすればよいか23-27頁、4契約はやめられるか■内容が違法・不当な契約はやめられる54-56頁]
・履行期に、借主が貸主に金銭を支払わないと、貸主は借主に履行の強制をすることができる(民法414条)。また、貸主は借主に、支払が遅れたことによる損害の賠償を求めることができる(415条)。金銭の支払が遅れたことによる損害の賠償は、債務不履行にもとづく損害賠償であるが、例外的に、債務者(借主)の帰責事由は必要でない(419条2項)[教材〔5〕(3)参照]。
・利息の利率が高いことは、契約内容が社会的にみて、著しく適切さを欠いている場合(公序良俗違反)にあたらないかどうか[教材〔4〕(3)参照]。

(4)金銭消費貸借契約が無効な場合。
・無効な契約は、当事者を拘束しない。金銭消費貸借契約が無効になると、借主は元本をすぐに返さなければならず、利息を払わなくてもよい。履行期と利息は、契約で定めたものだから、どちらも当事者を拘束しない。

(5)利息制限法違反
・利息制限法は、一定の利率を定め、その利率で計算した額を契約で定めた利率で計算した利息の額が超えた場合には、超えた部分の契約を無効であると規定する(1条1項)。例:元本200万円、契約で定めた利率年20パーセント、1年の契約とする。利息制限法が定める利率で計算した額は30万円、契約で定めた利率で計算した額は40万円である。したがって、30万円を超える部分(10万円)の利息を支払うという契約の部分が無効となる。契約が借主を拘束するのは、230万円を支払うということである。
・履行の強制ができるのは、230万円である。
・もし、借主が貸主に、240万円を支払ったら、貸主は、230万円を受け取ったことは法的に正当化される。10万円について、法的に受取りが正当化されないならば、借主は、10万円について返還を請求できることになる。しかし、利息制限法は、任意に支払ったときは、返還を請求できないと規定する(1条2項)。

(6)判例による利息制限法1条2項の解釈
・例:元本400万円、契約で定めた利率年20パーセント、1年の契約とする。元本を6ヵ月毎2回に分けて返済し、利息は元本返済の度に支払う(40万円、20万円)ものとする。契約の内容は、1回目の支払として200万円の元本と40万円の利息を支払うといいうことであるが、10万円の利息を支払うという契約の部分は無効である。しかし、支払ったら返還できない(利息制限法1条2項)。
・最高裁大法廷昭和39年11月18日判決は、10万円は、元本の支払に充てられると判断した。元本が残っている限り、実質的に、返還が認められるのと、同じ解決となった。240万円支払った後の元本の額は、190万円になる。
・1年後に、220万円を支払ったらどうなるか。元本の支払に190万円充てられる。14万2500円の利息を支払うという契約の部分が有効。4万7500円の利息を支払うという契約の部分は無効。しかし、支払ったら返還できない。
・最高裁大法廷昭和43年11月13日判決は、元本が全額弁済され消滅したら、利息制限法の適用はないと判断した。したがって、15万7500円は、貸主は借主に返還しなければならない。元本が残っていなくても、返還が認められことになった。
・貸金業規制法43条が、さらに、判例の解釈を、一定範囲で、修正した。
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消費者法講義教材〔6〕1997.6.12.

消費者法講義教材〔5〕 消費者法講義教材〔7〕

山田誠一の民事法務頁 1997年度消費者法

作成:山田誠一*勤務先住所と勤務先:657-8501神戸市灘区六甲台町2-1神戸大学法学部