サブサハラ・アフリカ経済開発論

 開発途上地域のなかで、飢餓、貧困、不平等など現在最も深刻な経済上の困難を抱えるサブサハラ・アフリカに着目し、その経済危機と停滞の原因を、各国の歴史的背景、社会の階層構造、国際的な政治経済的環境、自然条件、独立後の開発政策などの多角的な分析を通じて考究することがテーマである。特に現在は、次の2つを主な課題としている。

(1)市場原理に基づく構造調整政策及びその後の政策の具体的な展開過程の考察を通じて、市場経済(あるいは資本主義経済)と非市場経済が併存するサブサハラ・アフリカの後発途上国経済における経済開発問題の特殊性を明らかにすること。その際には最低生存水準に近い農民の行動原理が経済システムにどのような影響を及ぼすかを中心的課題とする。

(2)(1)の問題意識を踏まえて、アフリカ諸国の国家と制度が、経済全体の中でどのような役割を担ってきたのかを、歴史的な履歴、経済開発政策、紛争問題等の分析を通じて明らかにすること。 とりわけ、生産要素の賦存状況の変動(具体的には急速な人口増加、食糧不足・飢餓の問題)と社会経済的な制度の変化との関係を明らかにすること。

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 後発途上国開発援助論

 日本の援助は、一部の浪費、環境問題の惹起などの苦い経験はあったにせよ、従来の主要対象国であった東アジアにおいては、とりわけ成長への貢献の面においてある程度成果を挙げて来たと考えられる。これは、対象国において行政機構の整備、民間部門の一定の成熟、人的資源開発の進展などの条件が比較的整っていた一方で、日本の政府開発援助のメニューが相手側のニーズに合致したことが主な要因であると考えられる。しかし、日本の政府開発援助の対象国が多様化してくるにつれ、このような条件を備えないケースが増えて来た.多くの後発途上国では、Nation-buildingに多大なコストを要し、それが故に軟性国家、あるいは収奪国家と呼ばれるような状況におかれ、市場経済の発展も十分でないのが現実である.開発援助も本来の目的である貧困撲滅に関して所期の成果を挙げられていない。依然として世界最大の日本の今後の援助の課題は、深刻、複雑かつ多様な後発途上国の状況を踏まえつつ、相手側のニーズにあった援助をどのように進めてゆくかであろう。この課題に、日本の援助の基本的な理念と戦略、援助の方向付け、効果的な援助手法、ドナー(援助国・機関)同士の相互関係(とりわけセクター・コーディネーション)などを考察しつつ、取り組むのが現在の第2のテーマである。