12月1日
1.中央政府による地方のコントロール
1)財源面でのコントロール
歳入面で国が地方をコントロール(支配)する
例)地方税−−地方税法に規定(地方税法に基づき地方税は課税される)
2)地方税の分類
(1)普通税
<特徴>
使途非限定
<分類>
i)法定普通税
ii)法定外普通税 地方税法で定められていない税
→自治大臣(自治省)に事前に相談の上許可が必要である
○地方分権一括法により,許可⇒事前協議制に変更になった
(税率に関して)
→地方税法で決められている。<標準税率(固定資産税なら1.4%)>
これより低率で課税する事もできるが,その時には,地方債発行の際に制限がつく
超過課税(ただし,制限税率(上限の税率,固定資産税なら2.1%)を超えてかける事はできない)
(2)目的税 <特徴>使途限定
◎まとめ
中央政府による地方公共団体のコントロールとして次のようなものがある。
1)税目の縛り2)税率の縛り
2.地方債(p54)
地方公共団体の財源が不足する時に発行される
→発行条件があるが,その条件に合致すれば必ず発行できるのではなく,地方債発行には許可が必要
<発行が拒否される場合>
1)標準税率より下回る税率を課している場合には(例:固定資産税1%),発行が拒否される
→いままでは,標準税率以下なら地方債発行は禁止されていたが,地方分権推進法により,それはなくなった
2)起債制限比率
→自由に使える財源の内,何割を借金返済に使われているかを見ている
これを3年間見て20%をこえていると,財政状態が健全でないと判断され,地方債発行が禁止される
地方分権法により,許可制から事前協議制になった。(しばらくは許可制が続く)
◎まとめ
地方分権とは,自分で決めた事を自分のファイナンス資金で行うという事であるので,
わが国の分権度は低いといわざるを得ない(中央依存度が強い)
3.地方の財政支出
1.国の場合
・一般会計 通常,予算といわれるもの(税金を取って)
・特別会計 特別の目的のために作られたもの 例)国立学校特別会計など合計38ある
2.地方の場合
地方の場合は,ある特別会計が存在する地方もあるし,ない地方もある
∴比較しにくいので,次のような分類がなされる
・普通会計
・公営事業会計 公が経営する事業に対する会計 例)市バス,上下水道など
歳出
(1)目的別分類 地方自治体がどのようなものにお金を使っているか
(2)性質別分類 地方がどのようなお金をインプットとして用いて,どのように用いているか
cf.国の場合,(1)に対応するのは,主要経費別分類
(1)目的別分類
都道府県では,教育費が多額を占める(義務教育に関わる教職員の給料の半分を都道府県が負担するから)
市町村では,土木費が多額を占める。(公共事業に関係する)
p62 地方の財政運営
1.財政民主主義と地方財政
財政民主主義 財政面で民主主義を保障しようとする考え方 「代表なければ課税無し」
予算=国民からとったお金の歳出・歳入一覧表
予算をつくらない財政民主主義は考えられなくて,議員の1つの大きな仕事は予算を作る事である。
2.予算作成の際の原則
(1)予算公開の原則 予算を作成すると,それを住民に対して公開しないといけない
財政民主主義の根本となる
(2)事前議決の原則 予算はあらかじめ決めておかないといけない
会計年度4月1日から翌年3月31日
∴3月31日までに次の年の会計年度の予算を決めておかないといけない
そうしないと,地方自治体の仕事ができない(もし決まらなかったら,暫定予算を作成し,本予算執行後に吸収される)
(3)会計年度独立の原則
平成12年会計年度 平成12年4月1日〜平成13年3月31日と平成13年会計年度 平成13年4月1日〜平成14年3月31日 はそれぞれ独立しており,平成12年度に取られたお金を平成13年度に使うということはできない。
∴1年1年で区切ると自分たちが支払った税金の使途が良く分かる
もちろん,厳格にこの仕事を実行すると,長期請負の公共事業などができなくなるので,この例外をいくらか認めている。
(3)総計予算主義 歳入と歳出は漏れなく全て予算に計上しないといけない
(4)単一予算主義 予算は1つだけ作成
ただし,これにこだわると不都合が発生するので,この原則の例外として特別会計が存在する。
3.予算作成の方法
予算編成権は地方団体の長(首長)に属する cf国は内閣の専権事項
10〜11月頃に方針を決定し,各部署が予算作成担当部署に予算要求をする(国なら概算要求)
↓
予算作成担当部署はそれを,査定する(12〜1月)
↓
予算書(2月)作成 都道府県・政令市には提出30日前までに,市町村は20日前までに作成
↓
議会へ提出(3月)
↓
審議
◎もし議会がある議決を行った時に,首長が再議の要求ができる(首長の拒否権)ことも可能
◎議会が予算を議決しない時は,首長が議会に代わって予算を決めるという,専決処分権をもっている
↓
採決→可決→執行
年度の途中で予算を変更したい時には,補正予算を作成する(ファイナンスの方法を明記している)
この回数は不定である。
↓
決算(監査) 無駄遣いが無かったかの監査がつく
<特徴>決算の力が弱い
例:本来,1兆円でできた仕事を2兆円でやってもその差額を返済しなさいということはできない
また,この教訓が次の予算作成の教訓としても活かされない
⇒この点が特に問題である。
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