住民自治:住民自らが自らの地域のことを考え,自らの手で治めていくこと
団体自治:地域のことは,地方公共団体が自主性・自立性をもって,自らの判断と責任の下に地域の実情に沿った行政を行っていくこと
■事務の種類
■シャウプ勧告における地方自治
シャウプ勧告(Shoup Recommendation)(1949年)
(1)行政責任明確化の原則
「可能な限りもしくは実行できる限り,三段階の行政機関の事務は明らかに区別して,一段階の行政機関には一つの特定の事務がもっぱら割り当てられるべきである。そうすれば,その段階の行政機関は,その事務を遂行し,かつ一般財源によってこれを賄うことについての責任を負うことになるであろう。」
(2)能率の原則
「それぞれの事務は,それを能率的に遂行するために,その規模,能力および財源において準備の整っているいずれかの段階の行政機関に割り当てられることとなろう。」
(3)市町村(地方公共団体)優先の原則
「地方の自治を考えて,それぞれの事務は最下級の適切な行政機関に与えられることとなろう。市町村が適切に遂行できる事務は,都道府県または政府に与えられないという意味で,市町村には第一の優先権が与えられるであろう。第二には都道府県に優先権が与えられ,中央政府は,地方の指揮下では効果的に処理できない事務だけを引き受けることになるであろう。」
■国と地方の経費負担区分
現行地方財政法
■地方の歳入
1998年度決算(単位:100万円,%)
|
都道府県 |
|
市町村 |
|
純計額 |
|
地方税 |
17237391 |
31.1 |
18684792 |
34.5 |
35922183 |
34.9 |
地方譲与税 |
128611 |
0.2 |
466599 |
0.9 |
595210 |
0.6 |
地方交付税 |
9272814 |
16.7 |
8776051 |
16.2 |
18048865 |
17.5 |
利子割交付金 |
- |
- |
169319 |
0.3 |
- |
- |
地方消費税交付金 |
- |
- |
1301466 |
2.4 |
- |
- |
ゴルフ場利用税交付金 |
- |
- |
64372 |
0.1 |
- |
- |
特別地方消費税交付金 |
- |
- |
44520 |
0.1 |
- |
- |
自動車取得税交付金 |
- |
- |
342463 |
0.6 |
- |
- |
軽油引取税交付金 |
- |
- |
122067 |
0.2 |
- |
- |
小計(一般財源) |
26638816 |
48.0 |
29971648 |
55.3 |
54566259 |
53.0 |
分担金,負担金 |
849536 |
1.5 |
792642 |
1.5 |
828234 |
0.8 |
使用料,手数料 |
1058738 |
1.9 |
1321737 |
2.4 |
2380475 |
2.3 |
国庫支出金 |
10111065 |
18.2 |
5546477 |
10.2 |
15657542 |
15.2 |
交通安全対策特別交付金 |
52778 |
0.1 |
34750 |
0.1 |
87528 |
0.1 |
都道府県支出金 |
- |
- |
2581084 |
4.8 |
- |
- |
財産収入 |
301241 |
0.5 |
493617 |
0.9 |
794858 |
0.8 |
寄附金 |
36676 |
0.1 |
122700 |
0.2 |
156431 |
0.2 |
繰入金 |
1373845 |
2.5 |
1859709 |
3.4 |
3233554 |
3.1 |
繰越金 |
829501 |
1.5 |
1270125 |
2.3 |
2099626 |
2.0 |
諸収入 |
5586181 |
10.1 |
2879268 |
5.3 |
7928782 |
7.7 |
地方債 |
8664970 |
15.6 |
6562013 |
12.1 |
15135612 |
14.7 |
特別区財政調整交・納付金 |
- |
- |
739999 |
1.4 |
- |
- |
歳入合計 |
55503347 |
100.0 |
54175770 |
100.0 |
102868902 |
100.0 |
■財源面でのコントロール(再論)
■普通会計と公営企業会計
地方財政にも国と同様,一般会計と特別会計の区分があるが,特別会計の中には法令で設置が義務づけられているものと地方が任意で設置しているものの2種類があるので,公営事業会計とそれ以外の普通会計に分類して地方財政の状態を把握することにしている。
■地方の歳出
1998年度 目的別歳出決算額(単位:100万円)
|
|
|
|
議会費 |
96,072 |
506,218 |
602,257 |
総務費 |
3,000,195 |
6,280,808 |
8,655,252 |
民生費 |
3,835,995 |
10,774,713 |
13,445,439 |
衛生費 |
1,959,321 |
4,856,051 |
6,654,337 |
労働費 |
267,276 |
200,408 |
457,577 |
農林水産業費 |
5,058,889 |
2,472,259 |
6,382,433 |
商工費 |
4,307,346 |
2,016,931 |
6,260,533 |
土木費 |
11,654,144 |
10,782,643 |
21,972,878 |
消防費 |
230,984 |
1,746,458 |
1,901,224 |
警察費 |
3,456,830 |
- |
3,456,610 |
教育費 |
12,437,787 |
6,268,813 |
18,608,320 |
災害復旧費 |
362,143 |
258,598 |
536,240 |
公債費 |
5,131,030 |
5,904,505 |
10,907,308 |
諸支出金 |
44,895 |
307,076 |
351,971 |
前年度繰上充用金 |
- |
5,167 |
5,167 |
利子割交付金 |
169,319 |
- |
- |
地方消費税交付金 |
1,301,466 |
- |
- |
ゴルフ場利用税交付金 |
64,372 |
- |
- |
特別地方消費税交付金 |
44,520 |
- |
- |
自動車取得税交付金 |
342,463 |
- |
- |
軽油引取税交付金 |
122,067 |
- |
- |
特別区財政調整交付金 |
739,999 |
- |
- |
特別区財政調整納付金 |
- |
- |
- |
歳出合計 |
54,627,111 |
52,380,648 |
100,197,545 |
■予算原則
地方自治法の規定
■予算編成
◇予算の編成権は地方団体の長に専属している。地方公営企業に関する予算については,公営企業の管理者が原案を作成し,予算の編成権者に送付することになっている。
予算編成方針案の決定(10月下旬まで)
↓
予算要求 (11月末まで)
↓
予算査定 (12月下旬〜1月下旬)
↓
予算書の作成 (2月)
↓
審議 (3月)
予算提出時期:会計年度開始前の30日まで(都道府県および政令指定都市)
会計年度開始前の20日まで(市町村)
◇首長は予算の編成権だけではなく,議会が予算について行った議決について異議がある場合には,議会に再議を求めることができる。これを長の拒否権と呼んでいる。この拒否権には再議を求めることができる一般的拒否権と,再議を求めることが首長に義務づけられている特別的拒否権の2つがある。
さらに首長は議会の議決に代わって予算を決定することができる専決処分権をもっている。議会を招集する余裕がなかったり,議会が議決すべきことを議決しない場合に発動できる。
◇年度途中でに当初に成立した予算(当初予算)に,追加や変更を加える補正予算を作成することがある(通常は作成)。
◇その後予算の執行過程を経て,決算に入る。決算では,出納長または収入役による決算の調製,監査委員による審査,議会の認定,知事または自治大臣への報告と住民への公表という段階を経る。地方団体の長は決算書に監査委員の意見をつけて議会の認定に付さなければならない。