2009年9月から10月にかけて海洋地球研究船「みらい」に乗船し,北極海の研究航海に参加しました.北極海では年々海氷面積が減少しつつあります。この状況から,地球が温暖化したら北極海の海氷が消失するのではないかと世界的に危惧されています。そのような海氷全消滅イベントが過去の北極海で起きたのかどうかはいまだに全くわかっていません。現在,もし北極圏が急激に温暖化した場合,周辺の大陸から大量の淡水流入により急激に北極海や大西洋の深層水循環が停滞し,氷河期への急激な移行を招くのか?もしくは北極海の海氷消滅が深層水循環を活発化させ地球温暖化をさらに加速するのか?という緊急の課題があります。この課題を解析するためには,温暖期における北極海の深層水循環と海氷と淡水流入の相互作用を長い時間スケールで解析する必要があります。この関係を明らかにするために,これまで海氷に覆われていた北極海の堆積物を研究することがきわめて重要です。