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「混ぜて・塗って・乾かす」プロセスを対象として,その学理追及と機能性塗布膜製造技術への応用を目的として研究を行っています.
キーワード:新規流体混合操作,二次電池電極,燃料電池触媒層,セラミックスコンデンサ―,機能性薄膜
「新規流体混合プロセス」
正逆交互回転操作を利用した流体混合操作
一般的な撹拌操作は定方向・定速度の回転を利用しますが,特に粘度が高い場合には混合性能が著しく低下します. 当研究グループでは,撹拌翼の回転速度が正転から逆転まで連続的に変化する撹拌操作(正逆交互回転翼撹拌)を考案し, その学理を追及するとともに,新規混合プロセス開発に関する研究を行っています.

正逆交互回転撹拌の混合過程

動画による解説(You Tubeに飛びます)

正逆交互回転撹拌の混合過程

「粒子分散液のレオロジーと流動場における挙動理解」
サスペンジョンレオロジー
スラリー・ペースト・サスペンジョンなどと呼ばれる液体と粒子の混合体である粒子分散液は,粒子間相互作用によって粒子が凝集することで複雑な流動特性を示します.これを詳細に理解するには,粒子分散液の粘度や粘弾性といったレオロジー測定が有効です.当研究グループでは,粒子の形状や大きさ・高分子などの添加剤,溶媒の種類など,様々な要因が粒子分散液の内部構造に与える影響について系統的な理解を進めています.

粒子間力測定用コロイドプローブ

高粘度液体への微粒子分散
高濃度高分子水溶液や溶融高分子中において、微粒子を分散させるプロセスは均質な化学製品の製造には欠かせないプロセスです。しかしながら、均質な溶液とは異なり高分子と微粒子の大きさによって相互作用が著しく変化することで、分散に求められる要件が異なってくることが考えられます。当研究室では、剪断流動場における混合物のレオロジー特性の変化に着目し、分散プロセスを理解することを試みています。

溶融高分子内の微粒子分散

流動場における粒子の凝集および分散機構
塗布操作自体は塗液全体に均一な剪断速度が加えられますが,その剪断印加時間は短時間で,さらに剪断印加後には少なからず塗液の流れが存在します(レベリング).従って,定剪断場に加えて非定常な剪断速度印加による粒子凝集・分散挙動を明らかにする必要があります.当研究室では回転平行円板を利用して,凝集特性が制御されたスラリーに対して様々な剪断履歴下での粒子凝集・分散挙動について研究を行っています.
定剪断場での微粒子再凝集プロセス

「粒子分散液塗布膜の乾燥工程における構造形成」
固液スラリーを塗布乾燥して得られる機能性薄膜は、電池をはじめとした電子デバイスなど多くの分野で使用されています.薄膜製造プロセスは、調液・塗布・乾燥・焼成からなりますが、全ての工程において構造形成機構が理解されているわけではありません。本研究室では、レオロジーをベースとした分散凝集状態評価技術により調液・塗布プロセスを,様々な計測・分析方法により乾燥プロセスを理解することで、高機能薄膜の製造技術の高度化に関する研究を行っています.

次世代電池電極膜
地球環境に優しいとされる燃料電池やリチウムイオン電池といった次世代電池が注目されていますが、それらは数多くの部材から構成されています。中でも、電池性能の根幹に関わる電極には様々な微粒子状の物質が場合によっては高分子と共に薄膜成型されています。すなわち、この電極内での微粒子や高分子の分散状態を適切に制御することで性能の向上や安定化を目指しています。


乾燥プロセスにおける構造形成および制御技術
塗布およびその後の液流れによって形成された凝集構造と最終的な膜構造を関連付ける操作が乾燥になります.乾燥中にはスラリーの特性による凝集に加えて,液流れによる移流粒子集積効果や濃縮に伴うスラリーの特性変化が生じます.本研究室では,乾燥中の詳細な膜厚変化から粒子層形成過程を理解する手法ならびに乾燥雰囲気を制御することによる構造制御方法について研究を行っています.

スラリー塗膜の粒子層形成過程(PVA-シリカスラリー)

圧力調整乾燥によるクラック除去(水系TiO2スラリー)


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