無孔スラリー塗膜乾燥の理論と計算 (全10章)
講師 今駒 博信 先生 (元神戸大学)

概要

塗膜とは、μmオーダーの平面基材とその上に形成させた同オーダーの塗布層の複合体である。一般の乾燥過程では、湿り材料内に非一様の含水率と温度の分布を生じるが、材料厚みの小さな塗膜乾燥過程では、温度分布を一様と近似できる特徴と乾燥進行とともに材料厚みが減少する特徴を併せ持っている。

Fick型ポリマー溶液塗布層に、粒子成分を加えた場合がスラリー塗布層である。スラリー塗布層において、粒子成分に比べてポリマー成分の体積が多い場合には乾き塗布層中に空隙を生じず、この場合が無孔スラリー塗布層である。逆の場合には空隙が生じ乾き塗布層は多孔化する。この場合が多孔スラリー塗布層である。

スラリー塗膜の最大の特徴は、乾き塗布層中の組成が一様である他の塗布層とは異なり、塗布条件や乾燥条件が、乾き塗布層中の粒子やポリマー分布に大きく影響を与える点にある。そこで本講演では、スラリー塗膜の中で無孔スラリー塗膜に着目し、その乾燥過程のシミュレーション予測法を紹介する。シミュレーションには、乾燥モデルに加えて、相互拡散係数、水分活量曲線、ポリマー同伴含水率の諸物性が必要である。そこで諸物性の決定法についても紹介する。

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