数学基礎論サマースクール 2011
【範疇性の理論1,2】 竹内 耕太 筑波大学
アブストラクト
ゲーデルの完全性定理(あるいはコンパクト性定理)によって,どんな一階述語論理で書かれた数学的公理も,モデルの濃度を指定できないことが導かれます.
例えば,自然数の公理をどのように書いても,その公理を満たすモデルは決して一意には決まりません.可算モデルもあれば非可算モデルもあるからです.
しかし,濃度を一つ固定して,その濃度を持つモデルだけを考えれば,モデルが同型を除いて一意に決まってしまうことがあります.
このとき,その公理系は(ある濃度で)範疇性を持つといいます.
サマースクールでは範疇性を持つ公理を、「タイプの数」、「可算安定性」、「ヴォート対」という概念をつかって特徴付けられることを解説します.
内容としては学部生〜大学院初学年程度ですが,細かい証明にはこだわらず,モデル理論の基本的概念と道具の使い方を豊富な例で解説したいと思います.
キーワード・・・ストーン空間,タイプ排除定理,強極小構造,(モデル論的)代数閉包,素モデル,安定性,モーレイの非可算範疇性定理など