研究テーマ


細胞を用いた有用物質の効率的生産 (バイオプロダクション)

現在,私たちの身の回りの多くの物質が生物機能を利用して工業生産されています.このような有用物質を効率よく安価に生産するためには,目的物質に応じて適切な生産系と生産法を開発することが必要です.現在,哺乳動物や昆虫の細胞を用いた抗体やワクチンの生産 (図1),原核細胞や酵母による組換えタンパク質発現の最適化,光合成微生物を利用した機能性物質の生産 (図2) などの研究を進めています.



図1 動物・昆虫細胞を用いた機能性タンパク質生産  哺乳動物や昆虫の細胞 (A) は,医薬品として用いられるヒト型タンパク質を産生することができます.これらの細胞は非常にデリケートなので,大規模な生産では,細胞を担体粒子内部に集積・保持し (B),特殊な培養器 (バイオリアクター) で培養します (C).
図2 微細藻類による有用物質生産  有用物質の中には,細胞の生理的変化にともなって産生されるものがあります.こうした有用物質生産では,生理的変化の効率的な誘導法や低コストで安定な培養法を開発する必要があります.


生体分子の特異的認識能を利用した分離精製 (バイオセパレーション)

タンパク質や核酸などの生体分子は,選択性のきわめて高い分子認識能を有しています.これを利用して目的物質を高純度に精製するアフィニティクロマトグラフィー担体 (図3) の開発や,バイオ生産物の高度分離精製技術の開発を行っています.
 

図3 抗体精製用アフィニティクロマト担体の開発  抗体医薬の分離精製では,細胞由来の物質や他の夾雑物質が含まれる原料液から,目的の抗体のみを高純度でロスなく回収する必要があります.こうした精製で用いられるクロマトグラフィー担体は,粒子形状 (A) や細孔構造 (B) が最適化されています.



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