講義と実習

 当研究室が保健学研究科/医学部保健学科で担当する主な講義と実習は次のとおりです。
 伊藤のオフィスアワーは、A309に在室時は随時です。不在の時はメモを残してください。メールで
 アポイントをとっても結構です。附属病院での面談もできます。
 
学部
 臨床血液学講義(検査2年生、通年)
 臨床血液学実習T(検査3年前期)
 臨床血液学実習U(検査4年後期)

大学院
 細胞機能構造科学特講T(博士前期課程、前期)
 細胞機能構造科学特講U(博士後期課程、前期)
 細胞機能構造科学演習T(博士前期課程、後期)
 細胞機能構造科学演習U(博士後期課程、後期)
 病態解析学特別研究T(博士前期課程、前期)
 病態解析学特別研究U(博士後期課程、前期)

研究室のご案内
 当研究室は新館F棟3階に実験室をもち、大学院生や学部学生が日夜元気に世界をめざして
 研究に励んでいます。また、英語のトップジャーナルに掲載された重要な医学論文を読み、医学研
 究のための英語力を向上させるとともに、論文の批判的な読解力を養い、研究の価値観や論理的
 進め方を学んでいます。
 研究室の訪問や見学は随時受け付けます。お問い合わせは伊藤までどうぞ。
 (itomi*med.kobe-u.ac.jp、*を@に変えて送ってください)


臨床血液学講義(検査2年、通年)

講義のテーマと目標
 血液は血球と血漿から構成される。血球は赤血球・白血球・血小板の3系統からなる。その発生・増殖・
 分化の仕組を学び、その形態と機能を学んで、血球によって生体がどのように守られているかを知る。
 さらにそれらの破綻がどのような疾患を生み出すかを知る。血漿にはアルブミン、凝固因子、免疫グロ
 ブリンが含まれる。それらの役割を学習し、それらの異常がどのような疾患を招来するかを学ぶ。貧血
 や造血器腫瘍の成因と診断、出血性素因・血栓症の成因と診断に習熟し、治療の概略を知る。また、
 輸血の基本的知識を習得する。

 歴史的にこれまで血液学の領域は基礎研究の成果が最も早く臨床応用されてきた。血液学は臨床医学
 の中で最も早くから分子レベルで詳細に解析され、その成果が日常の臨床診断と治療に応用されている
 領域である。血液学領域の分子医学が臨床でどのような展開を遂げているか、さらに今後の動向につい
 ても解説する。

講義の概要と計画
 通年の講義は以下の流れで行う。
1. 血液学総論:正常造血の仕組と分子機序、造血細胞の形態学
2. 赤血球:形態と機能、産生と崩壊、赤血球の疾患(主に貧血)
3. 白血球:分類と機能、白血球の疾患、白血病、慢性骨髄増殖性疾患、悪性リンパ腫、M蛋白血症と骨髄腫
4. 血小板と凝固・血栓:機能と疾患(出血性疾患と血栓症)
5. 輸血学:輸血の基礎と臨床
6. 症例から学ぶ演習と最近のトピックスの講義

成績評価方法と基準
 試験期間にテストを行う(中間試験と期・鮪詞ア)。必要に応じて講義時間内に小テストを行ったりレポートの
 提出を求めたりすることがある。テストによって、基本的知識の習得度とともに知識を基盤にした応用能力
 を判定し、総合的に評価する。


履修上の注意(関連科目情報等を含む)
 講義をよく聞きノートを整理すれば習得すべき事項は学習できる。プリントに重要事項は全て書かれている
 ので、うまく活用してほしい。充分理解できないところは教科書や参考書を参照するか教員から直接聞く。
 興味ある学生は医学生用の教科書を1冊読破するとよい。さほど困難なく読めると思う。質問は多いに歓迎
 する。

学生へのメッセージ
 1年間の講義で世界のどこへ行っても胸を張って通用する血液学の知識を伝えたい。血液学はとても深い
 学問であることが学ぶ過程でわかると思う。また、血液学は検査医学の中で重要な位置を占めている。しっ
 かり理解してほしい。将来皆さんの中から血液学で指導的役割を果たす人材が育つことを期待している。

テキスト
 医学生用の血液学の教科書が各出版社から数種類出ていて、いずれも大変わかりやすく記述されている。
 検査血液学に特化した本には『日本検査学会編:スタンダード検査血液学 医歯薬出版』があるが、通読す
 るには医学生用の教科書の方が読みやすい。
 その他、医学生用の血液学の教科書が各出版社から数種類出ていて、いずれもわかりやすく記述されてい
 る。1回目の講義の冒頭で紹介する。図書館にもあるが、1回目の講義後に、上記のどれか一冊を購入する
 ことをすすめる。

参考書・参考資料等
1. 浅野茂隆ら監修:三輪血液病学 第3版 文光堂、2005
2. Wintrobe Clinical Hematology, 11th ed., Lippincott Williams & Wilkin, 2004
3. Williams Hematology, 7th ed., McGraw-Hill, 2005
 標準的な血液学の最高峰の教科書3つ。図書館にある。購入する必要はありません。

4. 南江堂;ビジュアル臨床血液形態学
 血球の形態を学ぶのに1冊アトラスを持っているのが望ましい。上記の本はその1例。


臨床血液学実習T(検査3年前期)

実習のテーマと目標
 用手法や機械による血球数算定と、血球の普通染色と代表的な細胞化学染色を習得する。また、血球形態の
 同定を実習する。続いて凝固因子の基本的な解析法を学ぶ。これらの実習から、貧血・造血器悪性疾患や出
 血性素因を持った患者のスクリーニング検査法を習得することを目標とする。

実習の概要と計画
1. 静脈採血と血液塗抹標本の作製
2. 末梢血液像の見方(正常と異常末梢血)
3. 自動血球計数装置の操作
4. 算法による血球数の算定(白血球、赤血球、血小板)
5. 網状赤血球数の算定
6. MPO染色
7. NAP染色
8. 骨髄像の観察と分類(正常骨髄と異常骨髄)
9. 出血時間、FDP測定
10. PTとaPTTの測定
11. Ficollを用いた単核球分離とサイトスピン、染色
 などを予定。詳細は実習前に配布するプリントに記載する。

成績評価方法と基準
 レポート内容、実習態度、出欠から評価する。レポートは正確かつ論理的に結果が記述され考察されているか、
 スケッチは正確か、課題に対して最も的確な解答をしているか、を重視する。

履修上の注意(関連科目情報等を含む)
 白衣で定刻に実習室に集合する。必ずその日に行う内容を予習してくること。無断欠席は厳禁。その他の注意
 事項は冒頭の実習で話す。

学生へのメッセージ
 正確に解析する心構えを身につけてもらいたい。血球形態観察においては正確に診断する目を養うための基本
 を習熟してほしい。マルクの診断は大変難しいが、アトラスをみながら果敢に挑戦してほしい。自分で解決できな
 ければ、必ず質問するように。

テキスト
 実習の際に詳細なプリントを配布する。

参考書・参考資料等
 図書館で血液検査学の教科書を探してそれを活用する。
 図書館にもあるが、血球のアトラスを一冊購入することをすすめる(例:南江堂;ビジュアル臨床血液形態学)。


臨床血液学実習U(検査4年後期)

実習のテーマと目標
 血液疾患のスクリーニング検査を習得した後の血液学実習である。血球起源の同定のための細胞化学的染色
 法やflow cytometryによる解析法を学び各種の白血病の診断法を身につける。また血小板機能検査や各種の
 凝固因子の解析法を学び、出血性素因患者の確定診断ができる知・ッを習得する。

実習の概要と計画
 神戸大学医学部附属病院、各地の基幹病院の検査部や日赤血液センターで実際の症例に即して検査を行い、
 どのような手順で検査を進めて確定診断を行うかを習得する。

成績評価方法と基準
 出席と実習態度を重視し、加えて臨床血液学全般の総合的な知識を問う試験を行う。その両者で評価する。

履修上の注意(関連科目情報等を含む)
 白衣で各病院あるいは研究室の検査室に定刻に集合する。無断欠席は厳禁である。実際の医療現場での実習
 であり、医療人としての心構えをもって学習する。医療現場は近年非常に多忙になっているので、受動的な学習
 態度では得られるところは少ないだろう。(業務の邪魔にならない程度ではあるが)能動的・積極的な姿勢で臨ん
 でください。

学生へのメッセージ
 血液学の知識や解析能力を持つことは皆さんの掛け替えのない付加価値である。しっかりした血液学の知識を
 持って、社会に出られるよう情熱を持って実習に取り組んでもらいたい。将来皆さんの中から血液学で指導的役
 割を果たす人材が育つことを期待している。

テキスト、参考書・参考資料等
 特に指定しないが、2、3年時に使用した教科書と血球のアトラス(例:南江堂;ビジュアル臨床血液形態学)を持っ
 ているのが望ましい。


細胞機能構造科学特講T、U

 正常および様々な疾患・病態における細胞・組織の機能や構造についてのレビューや、トピックス、研究手法など
 の紹介を行う。また、それらが疾患や病態の診断・治療などにいかに適用されるか、あるいは適用される見通しな
 のか、解説する。転写、血液学、分子生物学などのトピックスから学生のニーズを聞き、テーマを選ぶ。
 初回の講義時間に講義方法の説明を行う。学生との話し合いにより学生のニーズを掘り起こし、ニーズに基づく講
 義を目指す。自らの研究を遂行する上で必要なことを各教員の持っているものから吸収し、それを利用して自らの
 研究の裾野を広げることができれば、この特講が大きな意味を持つ。受講学生の能動的に学ぶ姿勢をのぞむ。


細胞機能構造科学演習T、U

 重要な文献を批判的に読む能力を養い、各自の研究への適用を考える。実際に実験・研究を行うことにより、独創
 的な研究手法を習得する。評価は積極的な取組みと態度、研究計画や成果のプレゼンテーションなどによる。教員
 の持っているものを吸収し、教員を乗り越えて欲しい。受講学生の能動的に学ぶ姿勢をのぞむ。


病態解析学特別研究T、U

 当研究室は堀江助教とともに特別研究の指導にあたる。造血、転写、癌をキーワードに研究テーマを設定する。特別
 研究をとおして学問の価値観を判断する能力を養い、研究の進め方を知る。後期過程の学生については自立した研究
 者にまで育成する。
 私たちは世界に通用する成果をあげて国際学会で発表したり一流英文誌に掲載したりすることを目標に、真摯に研究に取り組む。