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学会発表用の発表練習について考えてみましょう。もちろん,卒論や修士論文などの学内の一般的な発表練習と同じところがほとんどです。しかし,学会はそれぞれの分野の専門家が集まる場所ですから,一層丁寧な準備が必要です。以下に,注意点を書いてみます。 ●卒論や修論よりも簡単に流してもよい部分があります。これは,聴衆が専門家であることを前提にしてもよいからです。例えば,専門用語は,かなり使いやすくなります。この点で簡潔さをめざしてもよいわけです。 ●しかし,発表の論理性は,さらに洗練させることが必要です。問題及び背景,目的,方法(対象や分析の仕方),結果,考察,今後の課題などの「流れ」の中に高い一貫性が要求されます。とくに,問題及び背景,目的では,学術的な価値,独創性,社会的な貢献,何をどこまで明らかにするか,などが明確に述べられるべきでしょう。「なんとなくやってみました」「興味があって」では学会は許してくれません。 ●また自分の以前の研究との関係も明確にしましょう。もしアカデミックなファンが付いていたら,必ず前の発表との関係に注目しているはずですから。「なんだ同じだ」と思われたら,そこでファンは離れていきます。 ●また,別のところにも書きましたが,「データや結果から言えること」と「結論」の間の整合は特に念入りにチェックしましょう。 ●「ことば」の間違いに注意しましょう。とくにキーワードとなる言葉を間違えると致命的です。 ●質問もいくつか想定しておきましょう。素朴な質問が一番手ごわいので,とくに注意しましょう。研究をしていると各自の専門性の中に閉じこもってしまい,見えるべき課題が見えていない場合があります。やや専門外の人が「素朴に疑問に思うレベル」「素朴に着目する点」などなど,第三者の立場から自分の研究を振り返ってみましょう。 ●数値の大小の評価などは特に気をつけましょう。統計的な検定をしていない場合は,普通の人から見て,「多い・少ない」「大きい・小さい」という基準でしか話はできないわけですから。 ●以上をクリアするには,他の人に聞いてもらうのが一番です。例えば,小川先生とか。領域は同じだけど専門が異なる人がよいですね。
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