スプレッドシート

 スプレッドシート(表計算)は集計などの表形式で表現されている計算を計算機によって行うソフトウェアである。集計表などは文具店などで多くの種類が販売されており、大変実務として標準的なものである。以前は手計算、電卓などで行っていたが、現在は専ら、このスプレッドシートのソフトウェアが使われている。表形式のものは他にもたくさんある。家計簿、現金出納帳、預金通帳などである。

 表計算は、縦横の桝目に情報を書き込んでいき、縦や横の並びに対して規則を与えて計算する。そもそも人間が見て、直感的にわかり易いものである。

次の表がその代表的な例である。

代表的な例


基本概念

 上の表が典型的なスプレッドシートである。

簡単な例

 次の表を見てもらいたい。セルA1に値、10が、A2に値、20が入力されている。セルA3にはその合計が入るものとすると、「=A1+A2」という計算を入力する。すると計算結果の30がA3に表示される。

これに対して、変更を加えてみよう。例えば、A1のセルの値を30に変更すると、入力が確定した(通常、Enterを押すか、カーソルでセルを移動させる)瞬間に、A3のセルの値が50に変わる。


計算について

 計算では通常の四則演算である、

+、 -、 *(掛算)、 /(割算)と()

が使える。また、非常に豊富な関数も用意されている。例えば、合計を取るための計算は一つ一つ足さなくても、SUM(B2:B5)のように表現できる。マウスによる選択も、ドラッグすることで範囲指定のB2:B5などが指定できる。関数の詳しい使い方は、スプレッドシートのヘルプを参照すること。


コンピュータサイエンスの世界でのスプレッドシートの位置付け

 計算機の世界では、このスプレッドシートの登場は、一つの革命であった。従来、計算機の中の処理を行なう手順は、

 まず整然としたデータがあり、そのデータを処理するプログラムがあって、それぞれ独立なものとして存在する。独立性が保てないと処理の一般性が失われる。

とされていた。高価なプログラムを作成して、それを繰り返し利用できることが計算機を用いる最大のメリットであったからである。(これは今も変わらない。)

 ところが、スプレッドシートはプログラム(計算のこと)自身を他のデータと同じように扱う。つまり、上で述べたデータと処理(プログラム)の間の垣根が取り払われた、ということを意味する。しかも人間にとって大変わかり易い表の形で現れたのである。


本日の練習問題

 最初の例を作成することで、スプレッドシートの基本的な機能を習得する。新しいシートを開いて、以下の手順でデータを処理していくこと。

  1. 画面下のDockから、Excelを起動する(どれがexcelか早くおぼえる)
    ・・・結構時間がかかるので、グループ分けをします。
    学籍番号が、3の倍数、3で割って余り1、 3で割って余り2、の順に起動してもらいます。

    もし、何かエラーといわれても、気にせず使ってください。

    (空白の)Excelブックが選ばれていることを確認して、右下の「作成」を押す。
    最初の画面が教員のものと違うときは、変更してもらう。(「表示」タブ→「標準」;「ページレイアウト」の画面→「標準」の画面へ)



  2. データを入力する。データを入力するには、セルを選択して(カーソル、マウスクリックなどを使う)行なう。選択するとシートの上の入力ボックスに入力できるようにテキストカーソルが現れる。入力ボックスの左にはセルの名前が表示されているはずである。確定させるにはカーソルキー、タブキー、リターン、エンターなどを用いる。マウスでも良い。確定は選択がセルから移動するとおこる。

     入力は、まず、データそのものを入力して、それから整形を行なう。この手順はワープロと同じ手順である。最初の例題として、以下のように入力してみよう。 見えない左端の列の文字は、このページ最初の図を参照のこと。

    学籍番号と氏名は自分のものを入れる!

     ちょっとネタが古いですが・・・ でもそんなの関係ねえ・・・

  3. 保存する。保存の方法は、ワープロソフト「WORD」と同じ。・・・あ、まだWORDはやってなかった(^^;

    「ファイルメニュー」→「名前を付けて保存」 (保存場所(いまは、「書類」)も確認すること)

    です。


    ※最初に「このパソコン」を選ぶ必要があるかもしれません

    今回は、「学籍番号.xlsx」をファイル名としてつけること(Excelファイルは、次回提出してもらいます)。


    今後、作業の区切りごとに上書き保存をしておくこと(備えあれば憂いなし。パソコン作業でこれ大事です)。 ただし、Macでの上書き保存の作業は、
    上書き保存:「ファイルメニュー」→「保存」 (または、上のフロッピーボタン)
    です。
     ※言われなくとも、適宜、上書き保存をやっておくこと!!

    神戸大のネットワーク上では、ネットワークドライブ「ホーム」に保存しておけば、いつでも呼び出して使えましたね(前期授業参照)。


    大切な注意:

    ファイル名のお尻のアルファベットに注目。「.xlsx」となっていますね。
    ファイル名のお尻の、ピリオドより後のアルファベット3~4文字を拡張子といいます。
    コンピュータは、この拡張子を見て、ファイルの種類を判別します。

    実は、最新版のExcelファイル(WindowsならOffice2013とか、Office2016とか)では、これが「.xlsx」となっています。
    このファイルは、旧版Office(2003など)では開けません。
    お家のパソコンに旧版のExcelをお持ちのあなた!
    神戸大とお家で同じファイルの作業をしたいなら、神戸大のExcelで保存するとき、 ひとつ古い形式(「.xls」)で保存してください。
    「名前をつけて保存」にして、「ファイルの種類」を変えます。
    古いバージョンでは、最新版の機能の一部が使えないようです。

    これは、WORD(新「.docx」:旧「.doc」)や PowerPoint(新「.pptx」:旧「.ppt」)でも同じです。



  4. 整形する。縦と横の見出しは、中央揃えにする。セルはドラッグすることで複数のセルを選択できる。選択した状態で、ワープロと同じように「中央揃え」を指定する。

    中央揃え:上のメニューのボタンを押す。(ボタンの種類が違っている人は、「ホーム」タブになっているか確認!) 

     次にデータの書式を変える。B2からF6までのセルを選択して、「書式メニュー」の「セル」を選ぶ。(選択後、右クリックして「セルの書式設定」でもよい)

    ウィンドウが開くので、形式として通貨を選べばよい。

    セルの幅が狭い時には、上のアルファベットの見出しの区切りにマウスカーソルをおけば、つまんでセルを拡大できるようになる。

  5. 計算のデータを入力する。まず、セルB12を選んで、「=B7+B8+B9+B10+B11」と入力する。確定させるとその結果が表示される。 セルのアドレスの入力は、マウスでそのセルをクリックすることでも入力できる。
    注意:数式は、必ず英数半角モードで入力する。今後出てくる関数も同様。 

  6. B12の計算をC12、D12、E12へとコピーする。 なぜコピーなのかは後でわかる。 方法は非常に簡単である。まず、B12を選択して、コピーする。 そして、C12、D12、E12へと貼り付けを行えばよい。 テキストの張り付けと全く同じである。

    あるいは、セルを選択したときに出てくる、セルの右下のポチッと出ている小さな四角をマウスでつまんでC12、D12、E12へと ドラッグしても、コピーできる(このやり方を知っておくと、楽ができる)。

     これで正しい結果が得られる。しかしながら 、これはおかしな事であると気付かなければならない。
    なぜならば、コピーされるとしたら、全く同じ値になるはずだからである。

    実は、スプレッドシートでは、 計算に限り、参照される相対的な位置関係を「貼り付け」るようになっている。
    C12のセルをダブルクリックして、入力されている式を確かめてみればよい。 このことを良く覚えておくように。

  7.  同様にして行の計算をFの列について入力する。

 これで最初の例に示した表が出来上がった。

 では、ここからスプレッドシートでできる処理を行ってみよう。

  1. 罫線
    画面では、薄い灰色で罫線が見えているが、これは印刷されない。印刷時に罫線付きの表とするためには、罫線を引かねばならない。
    罫線を引くには、まず罫線を引きたい部分を選択する。そして、上のボタン群の中の「罫線ボタン」を用いるのが簡単である。
    罫線:「罫線ボタン」の右の矢印をクリック→「格子」 

    ※一番下の「罫線のオプション」をよく見ると、罫線の種類や色が細かく指定できそうですね。できる人はいろいろ試してみて、きれいなデザインにしてください
    ※「罫線ボタン」が出ていない不幸な人は、ウィンドウを大きくしてみよう。


    罫線の消し方

    罫線を消したいセルを選んで、罫線ボタンで出てくる罫線の種類のうち、「罫線なし」を選ぶ。

  2. レイアウト・装飾 (ここは、余裕のある人のみやってください。 また後日、説明する予定です。 順調に進んで、知識と時間と興味と趣味のある方は、派手にアピールするように、好きなように画面デザインしていいです(やり方は、8、9参照)。 ただし、データが見えないようなデザインは、不可!
    ・行や列の追加:
         挿入したい行のしたのセルを選択し、 挿入メニュー → 行(あるいは列)を選ぶ
    ・フォントサイズの変更:
         文字の入力されているセルを選択し、


    ・フォントの色の変更:
         文字の入力されているセルを選択し、


    ・セルの色の変更:
         文字の入力されているセルを選択し、





  3. グラフ。表になったデータをそのままグラフにして、見ることができる。グラフの種類は非常に豊富であるが、ここではそれぞれの結果も同時に見ることできる積み上げ棒グラフを作ってみよう。

    まず、グラフの範囲を指定する。ここではA6からE11までを選ぶことにする。 並べ替えやグラフの場合の範囲の選択には注意を要する。 選択を間違えると全く意味のないものになってしまう場合が多いからである。

    次に、リボンの「挿入」タブを選択しよう。

    グラフのボタンが見えるだろう。いかにも「縦棒グラフ」といったボタンを押して出てくるリストで、「3-D積み上げ縦棒」を選択する。

    これで基本形は出来上がりである。この状態でデータを変更すれば、グラフもまた、再計算の結果を表示しなおすようになっている。また、グラフの形式はいつでも変更可能である。
    グラフは、ワープロで扱った図形や画像と同じように扱え、移動やサイズ変更ができる。自動的に作成されるグラフは結構小さいので、印刷時に適当な大きさに拡大しておこう。



  4. グラフの削除の仕方

    グラフエリアをクリックして選択し、Delキーを押す。

  5. グラフの整形
    上記の様な大きさでグラフを作成すると、画面上では見やすい大きさに自動調整されるが、印刷したときには結構小さいことが多い(参考:印刷プレビューでチェック)。
    また、データの種類によっては、細かいところが潰れたグラフ(たとえば軸の文字が一部しか出ないなど)しかできないこともある。
    ここで、大きさなどの調整をやってみよう。
    横軸の商品名の上で、マウスを右クリックすると、「軸の書式設定」と出るので、これをクリック。


    出てきたウィンドウで、「フォント」をクリックしてフォントサイズを変更したりする。
    すべてのデータが見えるようにすること。
    グラフのいろいろな部分で、同じように右クリックすると、「・・・の書式設定」と出るので、そこを操作するといろいろと、グラフの整形ができる。試してみたい方は、お気軽に・・・

    グラフタイトルつけてみよう。
    作成したグラフの上に「グラフタイトル」とあるが、ここをクリックすると中に文字が書きこめる。



  6. 印刷(授業では、実際の印刷はしない)
    ワープロとは違い、表計算ソフトの印刷には注意を要する。 ワープロでは、画面に表示されているイメージがほとんどそのまま印刷されるが、 表計算ではそうはならない。 必ずファイルメニューの「プリントプレビュー」で印刷イメージをチェックしてから印刷すること。
    グラフは、ワープロで扱った図形や画像と同じように扱え、 移動やサイズ変更ができる。 自動的に作成されるグラフは結構小さいので、印刷時に適当な大きさに拡大しておこう。

提出課題

本日作成した練習問題の表とそのグラフの印刷イメージをPDFファイルにして提出せよ(やり方は、後述)。その際、以下の内容を満たしたものとすること。
  1. できるだけ、グラフにはタイトルをつける。(上のメニューに「グラフタイトル」のボタンがある)
  2. 表とグラフはA4サイズ内でできるだけ大きく、見やすくしておく

採点基準

  1. 学籍番号と氏名の記入のないもの。あるいは、ファイル名がおかしい → 圏外
  2. グラフのみ、あるいは表のみ → 論外
  3. グラフと表を合わせて、A4用紙の7割以下 → 大減点 (世の中、見た目が8割)
  4. 文字が全部表示されず、読めない部分がある 余分なものや足りないものがある → 減点
  5. 印刷イメージが2枚以上にわたる → 再提出

提出方法は、授業中に指示します。

途中までであっても、本日2限開始時までに一度必ず提出すること。

再提出者がいれば、次回連絡する


PDF変換法

PDFファイルにしたいものに印刷を指示して、印刷設定で、PDFにする。
  1. 「ファイルメニュー」→「プリント」
  2. 「PDF」ボタンを押す(若干違った画面が出ても、「PDF」ボタンの操作はおなじ)

  3. ファイル名の最後の「.xlsx」を「.pdf」に変えて保存
    これで、(「書類」フォルダの中に)できています。

  4. できた「PDF」ファイルをダブルクリックして、上記項目をきちんとチェックすること。

    (グラフだけとか、2ページ以上とかなってない??)

    プレヴュー画面の上のツールバーの「次へ(前へ)」ボタンや「進む(戻る)」ボタンが押せたら、複数ページになっているので、やり直し!

    やり直しの方法:
    Excelのワークシートの画面に青い点線が出ているはず。これをマウスでドラッグする(つまんでやる)と印刷範囲を変更することができる。