企画委員会からのお知らせ

企画委員会委員長 大藪 泰(早稲田大学)

 

 

<講習会のご案内>

 企画委員会では、大会期間中に下記の通り講習会を開催します。皆さんふるってご参加ください。尚、この講習会へ参加される方は、学会員・非学会員を問わず、大会参加費のお支払いが必要です。

 

講習会1

テーマ:統合型HTP法に表れた子どもの心の変化
講師:三沢直子(明治大学)
日時:3月28日(月)15時15分〜17時45分まで
会場:神戸国際会議場501室
定員:なし(下記によりあらかじめ申し込みをし、当日会場に直接お越しください)
趣旨:講師より・・・統合型HTP法(略称S-HTP)は、家と木と人を別紙に描く従来のHTP

テストに対して、3つの課題を入れて一枚の絵を描くものです。それによって、課題間の関係性や全体的な統合性の有無など多様な分析が可能となります。S-HTPに表れる発達的変化や1981年と1997~99年に行った小学生のS-HTPの比較など、これまで保育園・学校・病院などで行った結果をご覧いただきながら、子どもの心がどのように投影されるかを説明します。

企画委員(田中)より・・・ 子どもの臨床的な理解のためには、いわゆる発達検査や知能検査と並んで投影法も有用な手段です。とりわけS-HTP法は子どもに大きな負担をかけずに検査できることが大きな利点です。三沢先生は多年にわたり、子どもから大人まで、健康なケースから精神病圏のケースまでS-HTPを実施され、研究されています。当日は多数のスライドを使ってS-HTPを用いた幼児期・児童期の子どもの内面の理解について分かりやすいお話をしていただけるものと期待しています。以下の2点が先生ご推奨の参考文献ですので、ご紹介します。

三沢直子 1995 「S-HTP法 統合型HTP法による臨床的・発達的アプローチ」誠信書房

三沢直子 2002 「描画テストに表れた子どもの心の危機 S-HTP法における1981年と1997~99年の比較」誠信書房

尚、今回は自験例を持ち込んでのご質問はご遠慮頂きますよう、お願いします。

 

講習会2

テーマ:児童虐待への対応と法

講師:岩佐嘉彦(大阪弁護士会)

日時:3月29日(火)12時30分〜15時まで

会場:神戸国際会議場501室

定員:なし(下記によりあらかじめ申し込みをし、当日会場に直接お越しください)

趣旨:講師より・・・子どもから「誰にも言わないでください」として虐待を受けている事実を告げられた場合に通告しなければならないのか、虐待の事案を家庭裁判所が扱うのはどのような場合か、親子がどのような手続きで分離され、またどのような制度のもと再統合がはかられているのか。虐待をめぐる法制度の現状と課題について述べます。また、弁護士からみたその手続きの過程での心理職の役割と課題についてもふれたいと思います。

企画委員(小島)より・・・児童虐待のような事例を扱う心理士にとって、子どもの権利や親の人権など法律関係の知識は不可欠です。しかし、心理士がそのような知識を得る機会は決して多いとはいえません。講師の岩佐先生は、児童相談所や家裁、スクールカウンセラーの方々と連携をはかりつつ、児童虐待の問題等に取り組んでこられた方です。お話を伺うのはもちろんのこと、参加者の方々にも日頃対応に困っていらっしゃる事例をご相談いただき、コメントを頂戴する時間を設けたいと考えています。事前にご相談になりたい内容を小島までお寄せいただいても構いません。

                       

講習会申し込み方法

 参加を希望される方は、3月20日までに日本発達心理学会ウェブサイトの企画委員会ページ(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsdp/iinkai/kikaku/kikaku.htm)から、もしくはメールでお申し込みください。メールの場合、下記委員あてにお願いします。Faxでの申し込みも受け付けます。講習会1と講習会2で申し込み先が異なります。尚、ウェブサイトからの申し込みは、2月1日から可能になります。

講習会1:淑徳大学 田中みどり(GHH07725@nifty.ne.jp Fax043-265-8310

講習会2:中京大学 小島康生(ykojima@lets.chukyo-u.ac.jp Fax052-835-7144

 

2005年度国際ワークショップのお知らせ>

 企画委員会では、Harvard Medical SchoolおよびHarvard Graduate School of EducationRobert L. Selman教授をお迎えして、2005年度国際ワークショップを行います。日程は8月17日〜20日、場所は早稲田大学国際会議場です。参加申し込み等の詳細は、今後の発達心理学会のニューズレターや研究情報ニューズなどでご確認ください。

以下の案内文は、ホストの渡辺弥生委員(法政大学)から皆様へのメッセージです。

Selman先生は、ボストン大学で博士号を取得された後、ハーバード大学教育学研究科で道徳性の発達段階やプログラムの開発について取り組まれてきました。他方、ジャッジベーカー研究所のマンヴィル校では対人的問題をかかえている子ども達を対象に治療的なかかわりを行っています。

Selman先生は、友達関係がどのように形成され維持されるのか、すなわち、対人関係の理解の発達について長年研究されてきました。その結果、社会的視点取得の発達や対人交渉方略との関係を明らかにされただけでなく、発達理論をベースにさまざまな教育実践を展開されています。問題行動を予防するアプローチとしては、愛と自由の声プログラム(VLF:Voices of Love and Freedom)を幼児から高校生を対象に実施していますし、治療的なプログラムとしては、ペア・セラピーをマンヴィル校で用いています。最近は、こうした理論と実践の関係や教師の生徒理解の問題などについても関心をもたれています。近年、日本では、子どもの友達関係にかかわる問題が学校現場だけでなく社会的な問題として取り上げられることが多くなっていますが、セルマン先生のお話はこうした問題の解決に向けて、研究だけではなく教育実践でもおおいに役に立つように思います。ぜひこの機会に参加して、交流を深めていただければ幸いです。」