日本発達心理学会第16回大会の開催にあたってのご挨拶

 

この度,日本発達心理学会第16回大会を神戸大学の主催により2005327日(日),28日(月),29日(火)の3日間,神戸のポートアイランドにあります神戸国際会議場にて開催させていただきます。本年は阪神淡路大震災よりちょうど10周年の年に当たります。震災後よりPTSDや心のケアということが大変注目されるようになりました。その後震災だけではなく,子どもたちを取り巻く悲惨な事件が起こるたびに,子どもたちへの心のケアの重要性が指摘されるようになりました。もちろん心のケアが必要なのは子どもたちだけではありませんでした。しかし阪神大震災の時点では,学会としての対応がうまくできていたようには思えませんでした。むしろ多くの方々が,個人的に心のケアのボランティアとしてかかわられていたように思います。その後,発達心理学会を中心にした臨床発達心理士という資格もできました。今後は,心のケアが必要な事態にこの資格がどのように生かされるかが学会としても試されるのではないでしょうか。阪神淡路大震災10周年という節目の年に,神戸という地で日本発達心理学会が開催されることは大きな意義があるものと考えます。そのようなことを念頭におきながら,本大会では「生涯発達と心のケア」というメインテーマを設定いたしました。そして,中井久夫先生の招待講演や関連するシンポジウムを計画しております。皆さん方とこのテーマを頭の片隅に置きながら,学会としての役割についていっしょに考えていきたいと思います。

さらに,Michael Tomasello先生の招待講演「意図の理解と共有」や小嶋秀夫先生の特別講演「子育てと教育・発達の『理論』構築と文化」も計画しております。2年前にも兵庫教育大学の担当で神戸国際会議場において本学会が開催されております。したがってあまりご参加いただけないのではないだろうかと心配しておりましたが,会員企画シンポジウム,ラウンドテーブル,ポスター発表それぞれにおいて多くの方々がご参加くださることになり,準備委員会一同胸をなでおろしております。

昨年の夏には,学会の準備等で頼りにしておりました学会事務センターがなくなり,学会の準備を準備委員会だけで手探りで進めなければならないという事態になってしまいました。いろいろと至らないところがこれまでにもありましたし,これからもあるかと思われますが,準備委員会としましては皆様方のご期待に沿えるように頑張る所存です。皆様方にとって有意義な学会なりますことを願っております。どうぞご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 

 

20052

日本発達心理学会第16回大会準備委員長 小石寛文